スミ入れを行っているとうまくスミ入れができない部分があることに気づくはずです。それはぼやけたモールドだったり、角がはっきりしないパーツの隅だったり場所は様々かと思いますが、結局のところ「塗料を残すための溝が無い」ことが原因です。
スミ入れがうまくできている所とうまくできていない所が存在すると、完成品の見栄えが大きく見劣りします。アナタが無塗装派ならば、スミ入れの綺麗さは完成品の出来を左右するほど重要な要素となります。
どんな場所でも綺麗にスミ入れを行うためには「掘り直し」を行う必要があります。つまりぼやけたモールド等に新たな溝を掘り直して綺麗にスミ入れを行う作業です。
掘り直しに必要な道具
①けがき針
先がとがった金属製のペンだと思ってください。パーツの表面をけがき針でひっかくことで溝を作ります。形状がペンタイプですので線を描くように溝が掘れる一方で、その溝は多少毛羽立ち、がたついたものになりやすいです
②ラインチゼル
けがき針だけでも十分掘り直しは可能です。でももっと綺麗にシャープな溝を掘りたい場合はラインチゼルを使用するとよいでしょう。
チゼルとは「鑿(のみ)」のことです。つまり線(ライン)を引くのに特化された鑿(チゼル)です。
鋭利な刃先なのでシャープで綺麗な溝を掘ることができる一方、その刃先の形状から、「引く」動作でしか溝を掘ることはできないので、使用するには多少の慣れが必要です。
キットの大きさやスケールによって刃先の厚さを選ぶことができます。HGであれば0.15mmの刃先がぴったりです。MG等の1/100スケールでしたら、0.2mmの刃先を使用しましょう。このように刃先を交換することができますので非常に経済的です。
掘り直しのやり方
掘り直した溝の精度を無視すると、ラインチゼルによる掘り直しも、けがき針掘り直しもやり方は変わりません。本稿ではラインチゼルを中心に使う掘り直しのやり方についてご説明いたします。
①既存モールドの掘り直し
ラインチゼルを既存モールドに沿って動かします。この時刃が斜めになていたりするとうまく掘れないばかりか、ラインチゼルの先端を折ってしまう結果になりかねません。
溝が極端に浅いモールドの場合は、先にけがき針で軽く溝を掘ってガイドラインとしたほうが上手く掘ることができます
②パーツの隅の掘り直し
私は、上記の画像のようなパーツの隅にスミ入れを行う際は、必ず掘り直しを行っています。パーツの隅には塗料が残る溝が存在しませんので、掘り直しを行わないことには上手くスミ入れができないためです。
やり方はパーツの隅に沿ってラインチゼルを引くだけです。できるだけパーツに対して垂直にラインチゼルの刃を立てるべきですが、パーツの形状によっては難しい場合がありますので臨機応変に対応してください。
パーツの隅の角度が90度以下の場合は何も考えずに掘り直しができますが、このように角度が180度に近いなだらかな隅の場合は注意が必要です。
掘り直しする部分が直線の場合は、ガイドテープなどを張って対応します。曲線の場合はけがき針でガイドラインを掘ることになるのですが、相当慎重にけがき針を動かさないと線がずれてしまいます。軽い力で何度かに分けて溝を深くしていくようにしましょう
まとめ スミ入れは本当に大事
前述しましたように、私をはじめとする無塗装派にとってスミ入れはキットの完成度を高める最も有効な手段です。少しでも綺麗に繊細なスミ入れを行うために掘り直しのテクニックはぜひともマスターしてください
関連記事
スミ入れを行う理由と、スミ入れを行うべき3つの場所 【4-1】
スミ入れ塗料の種類と使い分け方 【4-2】
スミ入れがきれいにできるコツ 【4-3】
コメント
いつも参考にさせて頂いてます。和泉と申します。
ラインチゼルのペン軸、写真のは何をお使いでしょうか?
GSIクレオスの軸は方向は分かりやすいですが、交換に工具がいるのと、
0.3mmのタガネは一つで良いんですよね^^;
宜しければ、お勧めの軸をお教えください。
和泉様
コメントありがとうございます。
ラインチゼルの軸は、2mmのシャープペンシルを使っています。
これは、三菱製のものを使っていますが、最近では100均でも販売されています。
ごさんしょうください
そうなんですね!早速のご回答ありがとうございました!